札幌の文化遺産(札幌景観資産No01)

日本食品製造合資会社旧工場

JR函館本線[琴似駅]の東口を降りると目の前に蔦で覆われた煉瓦造りの建造物が現れます。西区八軒1条西1丁目2-5にあるこの建物が、札幌景観資産第1号に指定されている[日本食品製造合資会社旧工場]です。かつての工場敷地には高層マンションが経ち現在遺されているのはこの建物だけです。



下図は正面入り口です。玄関前の植え込みには[都市景観重要建造物第1号(現在の都市景観資産の以前の呼称)]の標柱があり、玄関壁面には下記の案内板が掲示されています。この建物について札幌市のホームページには次の様に紹介されています。
[この建物は日本で初めて、スイートコーン缶詰などの野菜缶詰を製造した缶詰工場として、昭和初期に建てられました。会社の創業者がアメリカに留学した際、カリフォルニア州サクラメントにある缶詰工場の造形に魅せられ、帰国後それらをモデルに工場を建設しました。重厚なれんがの造りとのこぎりの歯のような屋根の形が特徴です。また、側面の縦長の窓や正面と裏側に見られる同じデザインの大きな窓、工場内に降り注ぐ光を取り込む高窓など、個性的なデザインの窓を各所に見ることができます。屋根を包み込むほどに豊かに枝を広げる建物手前の樹木も美しく、れんがと樹木とのコントラストが印象的な景観を作り出しています。高層の建物が並ぶ駅周辺の街並みの中で、地域の歴史を伝えるランドマーク的存在です]。

現在この建物は、コミュニテイーホール(隣接する高層マンション[ザ・テワーシテイ]の集会室)として使われている他、コミュニティラジオ放送局[三角山放送局]のスタジオがあり地域放送を行っています(写真右)。
建物の裏側と側面から見た写真です。案内記事にもある様に幅広い窓と高窓がこの建物の特徴であることが良く理解できます。



道路側から見た建物の全景です。建物全体が緑で覆われたなかで三角錐を並べたような特異な屋根だけが姿を見せ、駅周辺の喧噪のなかにも静寂感を醸し出しています。