史跡名勝記念物に指定された豊平館の歩み

豊平館の建設

現在中島公園にある[豊平館]は、明治13年11月現在の大通西1丁目の札幌市民ホールの処に 竣工しました。 竣工の翌年、明治14年8月30日からは明治天皇の北海道行幸の御在所となりましたが、開拓使時代の[官設洋造ホテル]で、国内外の貴賓の宿泊所として使用されていました。大正時代には、大正11年7月11日-14日皇太子行啓の折の宿舎にもなつています。昭和8年11月には明治天皇行幸縁の施設である豊平館、清華亭が史蹟として史蹟名勝天然記念物法により文部大臣指定となりました。又、昭和39年5月には、國の重要文化財にも指定されました。写真は建設中の豊平館です。所蔵 北大付属図書館

明治13年に竣工した[豊平館]は、建築面積延べ534坪28という広大な敷地で、地階158坪22、一階217坪84、二階158坪22の米国風様式を基調とした洋風建築でした。札幌にはじめてお目見えしたこの洋風の華麗な建物は注目の的でも有りました。この写真は、竣工した豊平館です。
所蔵 北大付属図書館

札幌公会堂・市民会館の建設

市民会館
札幌市の発展と共に式典などの会場需要が高まった為、1921年(大正10年)市は宮内省から豊平館を譲り受け、大正15年には豊平館の裏に新しい建物を造って連結し[公会堂]として利用しました。豊平館の戦中・戦後の歩みは、北部軍の使用、戦後はアメリカ軍の進駐に伴いデパートの店舗として使用される等様々な道程を経て1947年(昭和22年)札幌市に返還され、以降は、公民館、市民会館として利用されてきました。新しい市民会館は、1957年(昭和32年)竣工しましたが、2007年(平成19年)3月老朽化のため解体されています。
豊平館跡碑
市民会館の正面玄関前に左図の様な[豊平館跡碑]が設置されていました。平成19年3月で市民会館は取り壊されましたが開拓使によって建設された豊平館の想い出を何時までも留めたいものです。

2008年に竣工した札幌大通西1丁目の市民ホール(旧市民会館跡地)前庭の土盛りした木陰の中に佇んでいます。碑と並んで案内板も設置されています。

中島公園に移転した豊平館



豊平館全景 豊平館正面 豊平館入り口
永い間大通公園に華麗な姿を誇っていた[豊平館]は、1958年(昭和33年)5月31日中島公園への移築が完了し、現在に至っています。建物は米国式を基調にしながらも細部には和風のモチーフを取り入れた、開拓使による建築物の中では現存するものの中で重要な建築物でもあります。地上2階地下1階の洋風建築で、特に正面玄関は半円形の車寄せを突きだしその上を柱で支える半円形のバルコニーとしている点が大きな特徴です。現在は、主として市営の結婚式場として利用されています。
(註)現在豊平館は改修中で完工予定は2016年3月です。