円山公園

円山公園は、中央区宮ケ丘に位置し大通公園・中島公園とともに札幌を代表する公園のひとつです。この公園は、円山の麓に広がる約70haの広大な広さで北海道神宮とも隣接しており、園内には、[動物園][野球場][陸上競技場][テニスコート]などの運動施設も完備しています。公園全体が緑に包まれ、国の天然記念物に指定されている[円山原始林]や[円山]への自然歩道など自然を満喫できる環境です。(北海道神宮は、同じ宮ケ丘ですが円山公園の中には含まれていません)。

円山公園の歴史

明治2年開拓使による札幌本府建設にあたり、開拓使判官島義勇は[コタンベツの丘(円山の丘)]から街づくりの構想を練ったと伝えられていますが、その場所は現在の円山公園の原始林入り口と道路を挟んだ反対側の一隅のようです。この時期と相前後して明治4年には円山の山麓に[札幌神社(現北海道神宮)]が造営されています。また、明治13年には、北海道における最適な樹木の植栽を図る目的で[円山養樹園]が設けられました。
写真は、当時の養樹園の様子です。所蔵　北大付属図書館
この養樹園はその後明治34年に上川の神楽村に移転しましたが、この跡地を公園にする計画が具体化し明治36年に当時の札幌区は、御料地であった養樹園跡地を公園予定地として借り受ける事になり明治41年から整備が進められました。
円山公園が今日のように札幌を代表する公園として名声を博するようになった大きな要因となったのが大正13年の札幌市電の円山公園までの延伸でした。下記の写真は、昭和5年5月花見客で賑あう市電円山公園停車場の様子です。この当時は[円山公園]が終点で[琴似街道][円山3丁目(現在の西24丁目)[西20丁目]と続いていました。所蔵　札幌市交通局

公園入り口の案内図です。入園のコースとしては①北1条通(下記案内図の緑で囲った処)②南大通(下記案内図の赤で囲った処)③南1条通(下記案内図の青で囲った処)の3ケ所が主たる入園口です。

北1条通から入園

札幌の中心部から北1条通を西進するとやがて[円山公園][北海道神宮]です。写真左が円山公園で道路脇に石標が見えます。

入り口から公園を見ると雑木林が広がりその中に立像が見えます。この立像は、[岩村通俊之像]です。
岩村通俊は、高知県の生まれで開発判官として札幌の開発に大きな力を尽くしましたが、その後明治19年北海道道庁が設置され初代の長官に就任しました。長官時代には官営事業を民業に移すなど、拓殖政策の転換を推進しました。像は佐藤忠良の制作で、円山公園の樹林の中で静かに佇んでいます。この[円山]という地名も明治4年今村通俊の判官時代につけられたものです

[北海道開道百年行幸啓記念]碑(写真左)昭和43年は北海道開道100年の年にあたり、また、札幌市も創建100年を迎え、この式典には天皇・皇后両陛下が来道されました。この記念の植樹が円山公園で行われ、記念碑が建てられています。[包丁塚](写真右)円山公園に建立されている[包丁塚]です。昭和47年に建立されたもので、札幌の調理師の皆さんが記念に建てた碑です。

園内の南北に繋がる遊歩道です(写真左)。[丸山川が公園と神宮の境界を流れ此処が[池]になっています。

南大通から入園

写真左は、南大通の公園入り口です。この場所が前段で紹介した市電円山公園停車場のあった処です。右図は公園に入った直ぐ側にある管理事務所です。

公園に入ると中央の道路を挟んで左右に芝生が広がり数多くの樹木が植栽されています。これらの樹木には[サクラ]や[紅葉]も多く春は満開のサクラ・秋には黄・紅葉など素晴らしい景観です。中央の道路を進むと北海道神宮の公園口鳥居から参道へと続いています。

春は[桜]秋は[紅葉]で多くの来園客で賑あいます。札幌を代表する観光スポットの一つです。写真右は、北海道神宮に通ずる道路です。

南1条通から入園

[南1条通]は公園内を東西に走行し道路沿いには[円山動物園][円山陸上競技場][円山球場]があります。

公園は[南1条通]を挟んで左右に別れ右手から入園すると雑木林の中に大きな記念碑が建立されています。
[島判官紀功碑]です。この碑は島義勇の顕彰碑で、高さ8メートル、幅2,2メートルで上段に書かれている[島判官紀功碑]は、義勇の旧藩主である鍋島直映が書かれたものです。碑文は第12代北海道長官中村純九郎が書かれたもので、札幌の街造りの基礎を築いた義勇の功績が記されています。

[南1条通]の左手は[坂下グランド(写真右)です。グランドの周りは円山の裾野ですが、かっての[養樹園]のあった場所で林の中に慰霊碑・殉職碑などが建立されています。

写真左は[殉難消防員之碑]です。大正14年5月に建立されましたが、開道百年、消防20周年にあたる昭和43年10月に再建されました。公園の緑深い中に静かに佇んでいます。写真右は[北海道鉄道殉職碑]です。この碑は、1953年(昭和28年)に建立されました。林の中でも一番高い場所にあり綺麗に刈り込まれた芝地の中にあります。建立された翌年に台風による洞爺丸沈没事故がありました。台座には1966年現在2.737名が祀られているとの追記があります。

写真左は[遊歩道]で此処を進むと円山原始林の入り口に出ます。写真中央は[北海道方面委員慰霊碑]です。
方面委員とは、現在の民生委員のことでこの碑は1936年8昭和11年)に建立されたもので当初は方面委員を慰霊したものですが、現在は前年に亡くなった民生委員も合祀しています。写真右は[逓信従業員殉職碑]です。
この碑は、逓信従業員の殉職碑で、周りの大木と比較しても見劣りがしないほど高い標石の碑です。

[南1条通]と並行して[円山川]が蛇行しています。[八十八カ所入り口の標識があります。ここも円山登山ルートの一つです。

八十八カ所入り口と円山原始林

大正3年、円山村開拓の功労者である上田万平・善七兄弟によって円山登山道が開かれました。標高226ｍの円山登山道は、ここからと別に原始林の木道を進み動物園側に右折する処にもあります。上田万平・善七は登山道の完成を機にここに大師堂を建立し、この登山道に沿って八十八観音を建立しました(左図)。
右図は山頂に建立されている[山神碑]です。青木由直著[札幌の秘境]によるとこの碑は、円山が石材の切り出し場であった頃、危険な石切り作業に従事していた石工達によって作られたものである。碑の文字の揮毫者はわからず、開拓使の高官との話が伝わっている。円山の石切り場が廃止され碑は埋もれたしまっていたところ昭和21年掘り出され基礎工事が行われ現在の姿になっている]。因みにこの碑を発見されたのは大師堂の世話役をしていた須藤与八さんと言う方だそうです。