モエレ沼公園 東区モエレ沼公園


札幌市東区の[モエレ沼公園]は、かっての[モエレ沼]を大規模な水郷公園することを計画して、270万tの廃棄物を埋め立てた後に造成された約1.89k㎡の総合公園で1982(昭和57)年に着工され、2005(平成17)年7月に完成しました。この公園が一躍有名になった最大の要因は世界的彫刻家イサム・ノグチの功績と言っても過言ではありません。かってこの地は[札幌村]で現在の札幌市開拓の原点となった地域です。公園は札幌の中心部から約14㌔の地点にあり地下鉄東豊線開通後は地下鉄と路線バスとの乗り継ぎでアクセスの面でも利便性は向上したものの、路線バスの運行回数も少なくこの点が難点でもあります。





イサム・ノグチとモエレ沼公園

イサム・ノグチと公園との関わりは、彼が札幌を訪れた折、既に建設が始まっていたモエレ沼公園に強い関心を寄せ、ごみの埋立地として利用している土地に対して「人間が傷つけた土地をアートで再生する。それは僕の仕事です。」とコメントし、同年6月に公園設計への全面協力を発表した事が始まりでした。イサム・ノグチの意向を受け札幌市は氏に公園設計を委託し、同年11月に開催されたノグチの誕生パーティーでモエレ沼公園の2000分の1の模型(マスタープラン)が披露されました。しかし同年12月に氏はは急病により死去され計画の遂行が危ぶまれましたが、既にマスタープランも完成し、併せてイサム・ノグチ財団の活動を支援していた人々の協力も得られることから札幌市は公園造成の継続を決定し、1989年(平成元年)から本格的な造成工事が始まりました。氏が構想した公園の完成を目にすることなく他界しましたが、故人の基本理念や構想はその後も着実に進められてきています。大通公園西8丁目には[ブラック・スライド・マントラ]と言う故人の作品が公園を訪れる人々の目を惹いています。
写真は公園の[イサムノグチ美術館]に掲げられている故人の遺影です。

モエレ沼公園を中心とした俯瞰図(札幌観光ライブラリーからお借りしました)



モエレ沼公園には[東口]と[西口]2ケ所の出入り口があります。下記の写真は東口のものですが、[新モエレ橋]を渡らなければなりません。右写真の右端に見えるのが[ガラスのピラミット]です。



橋の上から沼を見下ろすと両岸に釣り糸を垂らし釣りを楽しむ人々の姿が散見されます。大自然と公園の景観に浸りながら釣りを楽しむ、何とも風流な光景です。


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[ガラスのピラミツド]は、高さ32.3m、表面のガラス面積は延べ2,483平方㍍あり施設内にはレストラン、ギャラリー、ショップ、公園管理事務所などがが入っています。また、この3階にはイサム・ノグチの展示室があります。この建物の外観はパリのルーブル美術館を連想させるような建物です。館の前には自転車が並んでいますが、この公園は広いため自転車を使った園内遊覧が人気で自転車のレンタル場は大勢の利用客でごつたがえしています。



[ガラスのピラミッド]の反対方向にあるのが[モエレ山]です。この山の高さは52m、標高は62mです。不燃ごみと公共残土を積み上げて2004年に完成しましたが、登り口は3方向5ルートあり、いずれも10分ほどで登り切ることができる山だけに公園のシンボルとして高い人気を博しています。山頂は札幌市内を見渡せる展望台となっており、中心部に三角点(二等基準点)がありますが、この頂上は円形になっており、ノグチの生誕百年でもある完成した2004年に因んで2004センチになっていると言うことです。



[プレイマウンテイン(遊び山)]は、1990-96年にかけて制作されましたが、高さが30mあり南北の幅340m、東西の奥行きが200mあります花崗岩を積み上げた石段は99段ですが、石段の反対側の斜面には、白い一本の道が頂上へと続いています。



公園の中央に設置されている直径48mの大きな噴水が入園者の目を惹きます。この噴水を設計したイサムノグチは、これまでも1970年大阪万博でも噴水作品を手がけてきましたがそれ以前にも1988年マイアミのベイ・フロント・パークの噴水を手がけており、この公園の[海の噴水]はこれ迄の作品の集大成と言えるかも知れません。噴水池の高さは0.45m、直径は48mでボウル部分の深さが4.5m、直径が14mで最大噴上高は25mと言うスケールの大きい噴水です。それだけに迫力満点で空高く水の吹き上げる様は水の彫刻と呼ぶにふさわしく公園のビュースポットの一つです。



[テトラマウンド]
直径2mのステンレスの円柱を三角錘の様に組み上げた[テトラマウンド]は、高さが13m、幅65m、奥行き56.2mの巨大なオブジュエクト
です。円柱の表面は光線を浴びると輝きが多彩に変化します。三角錐の下は小高いマウンド(土手)で円柱の根元は三角池で日差しを受けた水面には円柱の影を映しています。此処から東方向を俯瞰すると[プレイマウンテン][ガラスのピラミッド][モエレ山]などを望むことが出来ます。





[ミュージックシエル]
ここはコンサートや舞踊などを行う舞台で、[プレイマウンテン]の正面に位置しています。この半球形の建物は反響板を兼ねており、内部には出演者のための控室とトイレが組み込まれています。ステージ部は幅14.5mの半円で、床にはプレイマウンテンにも使用されている庵治石が敷き詰められています。



[サクラの森(遊具エリア)]
サクラの森には約2,300本のサクラが植樹されていますが、この森は[遊具エリア]と森内に呼ばれており森内に設置されている遊具類はすべてイサム・ノグチがデザインしたものだそうです。