札幌の文化遺産(さっぽろふるさと文化百選)

北海湯



札幌駅北口から北8条通りを東上すると北7条東3丁目に、さっぽろふるさと文化百選に選定されている[北海湯]があります。この建物はかつての銭湯で1907年(明治40年)建てられたもので市内の銭湯では最も古い銭湯でした。煉瓦造りの建物で建築当時はこの地区は開拓使麦酒醸造所に代表される様な煉瓦を使った建物が多く、この北海湯も大変人気の高い銭湯だつた事と思います。

玄関前に[さっぽろ・ふるさと文化百選]の表示盤があり、ここには大凡次の様に書かれています[明治40年(1907年)頃から[北海湯]の名で始められた公衆浴場である。現存するものでは札幌で最も古い一つである。特に煉瓦造りは当時大変モダンなものであり、現在も全国的に珍しいと云われている。このあたりはかって札幌麦酒会社や帝国製麻の赤煉瓦で造られた工場が並んでいた。建物は切妻の正面の2階に大小のアーチ窓を設け要所に白色タイルを飾りアクセントしているのが特徴である]。



現存する建物の正面には[北海湯]と刻まれた金文字が残されていますが、現在2階は[貸スタジオ]で、1階は[STUDIO BAR 北海湯]として営業されている様です。

建物の横に廻って見ると銭湯の煙突がそのまま残されています。この煙突から黒い煙りを吐きながら銭湯に通う当時の人達を暖かく迎え入れていた姿を想像しながら、煙突1本にも歴史が遺されていることを痛感させられました。



北海湯の二軒西隣りには旅館がありました。(芙蓉館と云う看板が見えます)新しく改装されていますが恐らく古くからの伝統を誇る旅館だつたのかも知れません。札幌駅の北口、数多くのホテルがあるなかでの旅館と云う名称にたまらなく郷愁を感じます。かつてこの地区が札幌市街建設の中心部であった歴史の証左かも知れません。



目を東に転ずると道路を挟んで東4丁目の角にこれまた[札幌景観資産No25]に指定されている[高城商店]があります。このすぐ近くはかって元村街道と呼ばれた通りでこの界隈は、明治中期には製麻工場や麦酒工場が建設され従業員の寄宿舎や社宅の増加とともに商店街が賑わいをみせ、両側に商店や飲食店が数多く建ち並らんでいたそうです。