札幌の文化遺産(札幌景観資産No06)

杉野目邸

札幌の藻岩山裾に広がる南19条西11丁目の杉野目邸です。この邸宅は北大の学長を務めた理学部の創設者としても名高い杉野目貞晴博士の邸宅で、近くには幹線も走り交通量も多い場所ですが静かな佇まいの中に美しい姿を見せています。


邸宅の正面門柱の脇に、[都市景観重要建築物第6号]と[さっぽろふるさと文化百選]の案内表示があります。[都市景観重要建築物第6号]は現在[札幌景観資産]に名称が変わっています。[さっぽろふるさと文化百選]の案内表示には大凡次のように書かれています。
[北大元学長杉野目晴貞教授の邸宅として建てられた。設計者は文部省技師の萩原惇正と岡田鴻記である。萩原は北大の理学部本館の設計者として知られ、イギリスのハーフティンバースタイルを得意とした建築家である。この邸宅も玄関ポーチや多くの半円形の窓、化粧の柱や梁などイギリス住宅を思わせるデザインを用いている。イギリス留学から帰国した杉野目教授の意向も反映されたと思われる]。
※ この敷地は個人の方の所有ですので立ち入りはご遠慮ください。と書かれていますが、幸い所有者の方がいらしてお許しを頂き写真撮影をさせて頂きました。



玄関ポーチ


半円形の飾り窓
建物の南面です。庭に面して洒落た窓が多く見られます。

邸宅の周りには大木が連なりこの大木と邸宅が見事なコントラストを演出しています。このあたりはかつての山鼻屯田兵村の跡で当時植えられたものの痕跡かも知れません。歴史を感じさせてくれます。邸宅前の道路は札幌を南北に走る12丁目通です。この東側に[石山通]が走っていますが、かっての山鼻屯田屯田兵村は、この石山通を基点にして東西に屯田兵屋を整然と建設しましたので、この杉野目邸もかっては屯田兵村の兵屋跡かも知れません。