札幌の文化遺産()

北海湯

札幌駅北口から北8条通りを東上すると北7条東3丁目に、[札幌景観資産No18]に指定されている[北海湯]があります。
この建物はかつての銭湯で1907年(明治40年)建てられたもので市内の銭湯では最も古い銭湯でした。煉瓦造りの建物で建築当時はこの地区は開拓使麦酒醸造所に代表される様な煉瓦を使った建物が多く、この北海湯も大変人気の高い銭湯だつた事と思います。尚この建物は[さっぽろふるさと文化百選]にも選定されています。この建物の前の道路は[北8条通]で札幌駅北口の前を走行している道路です。

玄関前に[札幌景観資産第18号 北海湯]の表示盤があり、ここには大凡次の様に書かれています[れんが造りの公衆浴場として建設された全国的にも珍しい建物である。元村街道を中心として明治初期から開けていたこのあたり一帯は札幌麦酒会社や帝国製麻の赤煉瓦で造られた工場が並んでいた三角屋根のシンプルな外観で正面上部の櫛型アーチや白色タイル野装飾、金文字の看板などがモダンな印象を与える]。

現存する建物の正面には[北海湯]と刻まれた金文字が残されていますが、現在2階は[貸スタジオ]で、1階は[STUDIO BAR 北海湯]として営業されている様です。1階のウインドウに下記の表示があります。




建物の横に廻って見ると銭湯の煙突がそのまま残されています。この煙突から黒い煙りを吐きながら銭湯に通う当時の人達を暖かく迎え入れていた姿を想像しながら、煙突1本にも歴史が遺されていることを痛感させられました。

北海湯の二軒西隣りには旅館がありました。(芙蓉館と云う看板が見えます)新しく改装されていますが恐らく古くからの伝統を誇る旅館だつたのかも知れません。札幌駅の北口、数多くのホテルがあるなかでの旅館と云う名称にたまらなく郷愁を感じます。かつてこの地区が札幌市街建設の中心部であった歴史の証左かも知れません。

目を東に転ずると道路を挟んで東4丁目の角にこれまた[札幌景観資産No25]に指定されている[高城商店]があります(写真の右つきあたりに赤い看板が見えます)。このすぐ近くはかって元村街道と呼ばれた通りでこの界隈は、明治中期には製麻工場や麦酒工場が建設され従業員の寄宿舎や社宅の増加とともに商店街が賑わいをみせ、多くの商店や飲食店が建ち並びでいたそうです。