札幌の文化遺産(国登録有形文化財)

古河記念講堂

[古河記念講堂]がある北海道大学は、札幌市北区北8条西5丁目を中心に広大なキャンパスに恵まれています。
北大の正門を入ると西に向かってなだらかに起伏している緑地があり通称[中央ローン]と呼ばれています。面積が約12.000uという広い芝生の真ん中を[サクシュコトニ川]が流れ歴史を感じさせる巨木がそこここに生い茂っています。この[中央ローン]と道路を挟んでキャンパスの学棟や図書館、事務棟等が並立しています。

[中央ローン]を右手に見ながら進と奥に農学校の学棟があり、手前のクラーク像の前を南北に通ずる道路があります。通称[中央道路]と呼んでいます。中央道路の東の一角に[古河講堂]があります。
この[古河講堂]が、国登録有形文化財に指定されており、北大の[保存建物]として旧昆虫学教室、旧図書館、旧農業経済学教室と共に指定されています。

左図は古河記念講堂です。
現在の北海道大学の前身である札幌農学校は、明治40年(1907年)仙台に東北帝国大学が設立されると、その一分科大学として[東北帝国大学農科大学]に改組されました。当時は日露戦争後の財政的にも極めて厳しい時代でしたが、農学校が帝大に昇格したのは当時の総長佐藤昌介と同郷であり古河財閥の顧問を務めていた内務大臣原敬の功績と云われています。原敬は、古河家へ社会貢献のための出資を進言し、これを受けて古河財閥は九州・東北帝国大学建設費として100万円の寄付を行いました。この時に建設されたのが現在の講堂で、[古河記念講堂]として、農科大学の林学科の教室として使用されていました。建築されたのは明治42年(1909年)です。

白雪の中の情景も大変趣があります。
岩沢健蔵著[北大歴史散歩]の中に古河講堂の特色についての紹介が在りますので抜粋して引用します[現存する旧林学科教室本館部分の建築面積は約420u、外観を特徴づけている左右の翼屋の二段勾配は、創案者であるフランス17世紀の建築家の名に因んでマンサード風とも或いは腰折れ屋根とも呼ばれる。玄関ポーチや屋上中央の小塔など全体として統一のとれた様式美を専門家はフランス・ルネツサンス様式と呼ぶ、設計者は山平四郎で、北海道にこの様式の建築が行われたのはこれが最初と云われている]。



この建物は、外壁が全面下見板張りで白ペンキで塗られ[白亜の殿堂]の趣ですが、昭和の初期までは[灰緑色]だったそうです。この建物の特徴は、正面中央に[玄関ポーチ]と[小塔]があるモダンな建築様式で、近代ビルの学棟が並立する中で一際目につく建物で、歴史の威厳を誇っているようです。