市電・市バスから地下鉄時代へ
市営電車・バスの運行
札幌で[馬車鉄]に替わって電車が運行したのは、大正7年の北海道開道50周年記念博覧会の年です。その後電車は、民間の経営で順調に推移してきましたが、大正11年札幌市が市制を施行するに当たり、電気軌道の公営化が大きくクローズアップされ、大正13年には市会で満場一致で買収が議決されました。その後市と会社サイドとの度重なる折衝の結果、大正15年11月25日、会社と市は譲渡日を大正16年12月1日と定めて仮契約を締結しました。年号が変わった昭和2年12月1日午前零時を期して市営に移管し、市電としての新しい第一歩を踏み出すこととなりました。この時点での営業路線長は、16.3キロメートル、保有車両63でした。新しい組織は[札幌市電気局]としてスタートしましたが、事業の拡大にあわせて昭和12年には[交通事業所]、同22年には[交通局]と改称して現在に至っております。又、市営バスは昭和5年に運行が開始され、市内の住宅地の拡大にあわせて路線数も東西南北にあまねく張り巡らされ市民の足として大きな役割を果たして来ましたが、地下鉄の開通後は、バス事業の合理化が図られ、平成15年以降、民間事業者への移管で運行されています。 |
写真は昭和初期の市電の運行する様子です。所蔵 札幌市公文書館 交通史写真帖より転写
藻岩山ロープウエイの開通
昭和33年7月5日から北海道大博覧会が開催されこの博覧会の開催日にあわせて藻岩山のロープウエイが運行を開始し[藻岩山]は、一躍札幌を代表する観光スポツトとして脚光を浴びるようになりました。市電の[ロープウエイ入り口]から程なく[ロープウエイ山麓駅]があり、ここからゴンドラで約5分程で[山頂駅]に到着、ここからは山頂までシャトルバスが運行しています。当初のゴンドラは定員8名の小型な物でしたが、昭和46年札幌冬季オリンピツク開催を機に60人乗りの大型のゴンドラが使用されています。
藻岩山は、標高531bの山で頂上には展望台が設置されています。山麓駅から山頂駅までは1.200bの距離です。展望台からの眺めは抜群で晴れた日には札幌の町並みは勿論の事、石狩平野や遠くに連なる山並みを眺望することが出来ます。山頂から眺める夜景は特に美しく、新しい観光スポツトとして札幌の名所になつています。
札幌は、冬季オリンピツクを機に急速に近代化が進みましたが、ロープウエイがオープンした昭和33年は未だ開発途上で古い面影が残る町並みでした。写真はゴンドラの中から写したものですが、中央には豊平川が流れ、幌平橋を見ることができます。
(註)写真はいずれも2006年に撮影したものです
地下鉄の開通
札幌の交通アクセスばかりでなく、経済・産業面でも大きな変革をもたらしたのが地下鉄の開通でした。オリンピツク開催を翌年に控えた昭和46年12月待望久しかった地下鉄南北線が開通し、北24条-真駒内間を南北に縦断する新しい交通網がスタートしました。その後路線は逐次延伸して、現在では、南北線(麻布-真駒内)、東西線(新さっぽろ-宮の沢)、東豊線(栄町-福住)と、3路線が走行しております。
札幌の地下鉄の特徴の一つは、[中央案内軌条式鉄道]で、中央に案内軌条を設置し、車両は世界でも初めての本格的なゴムタイヤを使用しています。そのため騒音も少なく且つ乗り心地が快適だと高い評価を受けている地下鉄です。
札幌の地下鉄のもう一つの特徴は、[高架シエルター]です。南北線の平岸駅から真駒内駅までは高架方式を採用していますが、冬期間の積雪対策が必要となります。そのためこの区間をアルミ合金製のシェルターで覆っています。これなどは北国特有の装備といえましょう。
地下鉄の歩み
昭和46年(1971年)12月 南北線(真駒内-北24条間)開業
昭和51年(1976年) 6月 東西線(琴似-白石間)開業
昭和53年(1978年) 3月 南北線(北24条-麻生間)延伸開業
昭和57年(1982年) 6月 東西線(白石-新さっぽろ間)延伸開業
昭和63年(1988年)12月 東豊線(栄町-豊水すすきの間)開業
平成 6年(1994年)10月 東豊線(豊水すすきの-福住間)延伸開業
平成11年(1999年) 2月 東西線(琴似-宮の沢間)延伸開業
地下鉄開通と地下商店街オープン
札幌地下鉄の開通にあわせて、昭和46年11月16日には大通駅を中心に西1丁目のテレビ塔から西3丁目の大通駅までの[オーロラタウン]、南1条から南4条ススキノ駅までの[ポールタウン]あわせて152店舗からなる一大ショツピングセンターが誕生しました。オリンピックを控えて大型店の進出、店舗のリニユーアルなどが進む市内の中心部に、新しいショツピングゾーンが生まれ、初めての本格的な地下ショツピングゾーンの誕生に年末、プレオリンピック商戦は最高潮に達しました。写真は二つのショツピングゾーンの交差点でもある、大通駅コンコースです。
[オーロラタウン]は、地下鉄大通駅のコンコースから東に延び、テレビ塔の地下に繋がつています。途中にはデパートの地下にも直結しています。衣料品、喫茶・レストランなどが店を並べていますが、現在は市営地下鉄の財政赤字を解消するため、定期券売り場を縮小してコンビニやデパートのアンテナショツプが出店してオープン当時とは様子も大きく変わりつつあります。
ポールタウン]は、大通駅からススキノ駅まで南に延びています。この地上には、狸小路商店街を始め、大型店、ブテッイクなどの専門店が並んでいる地上・地下あわせて札幌の一大ショツピングゾーンを形成しています。
札幌の商業圏の拡大は、1972年の冬季オリンピックがその契機となって大きく塗り替えられる事となりましたが、その中核となつたのが、オーロラ・ポールタウンでした。
札幌駅前通地下歩行空間開通
2011年3月12日、札幌駅前と大通を結ぶ[札幌駅前地下歩行空間]が開通しました。この開通で札幌駅からすすきの迄が地下でつながる事となりました。広々とした歩道両サイドのスペースでは歩行者のための休息スペースの他、様々なイベントが開催できるスペースもあり、地上のホテル、ビルと連結するなど地上と地下が一帯となった空間を形成しています。
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